自立しすぎた夫婦

結婚式

ある程度の財を成す人には、一見普通に見えても何かしら人とは違う感性をお持ちの方がいらっしゃいます。「普通なら」「一般的には」といった既成概念を取っ払うパワフルな方々ですね。

よくニュースになる「夫婦別姓」よりも、もっと強い自立心をお持ちの夫婦についてお話いたします。

おめでたの度に結婚・離婚を繰り返す

恋愛結婚で夫婦となられたK夫妻。御主人はSEで収入も悪くはありません。奥様は家業を継いだ2代目経営者。小さいながらもて社員を抱え、充実したビジネスライフを過ごされています。

お子様は2人いらっしゃって、はた目からみても家族円満なのですが、奥様から「私、バツ2なんですよ~」とお話が。苦労の末に掴んだ幸せなのかと思えば、同じ相手と結婚・離婚を繰り返しているという衝撃のエピソード!。その理由がすごいのです。

究極のリスクヘッジ

奥様は会社経営者。いつも頭にあるのは「自分にもしものことがあった時、家族に迷惑はかけたくない」という考えだそう。結婚しているとご主人に相続権が発生するので、負の遺産が大きい場合の手続きやら心理的負担を無くすためが最大の理由とのことです。

お子さんは「遺留分権利者」として相続権があるので放棄手続きは必要です。そこは御主人がリードしてくれるので問題なし。災害や感染症の拡大で、会社に相当の体力がないと不安で仕方ないのは想像に難くありません。

子どもを私生児にしない

迷惑をかけたくないなら事実婚を選べばいいのでしょうが、夫妻は我が子を非嫡出子や婚外子にはしたくありませんでした。そのために出産までに再婚し、夫婦として子どもを迎えることを選択。スムーズに親権を共有することと、子どもに父親の姓を名乗らせることが目的だったとお聞きし、そこで初めて奥様は戸籍上別姓を名乗っていることを知りました。

ご家族への配慮がものすごいのですが、免許証や口座開設名など、奥様ご自身の手続きはなかなか煩わしいはず。そういったことが苦手でない人だから出来ることなのかとも感じます。

最後まで夫婦として添い遂げる

リスクヘッジとアイデンティティの課題を、離婚と事実婚でクリアしようとしたK夫妻は究極の選択をすることになりました。

御主人の急逝

奥様が亡くなった場合を想定して動かれていたK夫妻。ところが、ご主人の急な体調悪化を迎えることになってしまいました。いろいろなメリット・デメリットを考えて離婚・再婚を繰り返してきたご夫妻でしたが、最後に選んだのは「元妻」ではなく「妻」として夫を送ることでした。

家族を守りたい思いが強すぎて前衛的な生き方を選ばれていたK夫妻。最後は愛で締めくくられたことに、今でも涙が浮かびます。